デロンギのウォーターフィルターは本当に必要?効果・細菌リスク・科学的根拠から徹底検証

「ウォーターフィルター」って必要?
デロンギの全自動コーヒーマシンを購入すると、多くの機種に「ウォーターフィルター(DLSC002)」が付属しています。
でも説明書を読んでも「何がどれくらい取れるのか」「どんな効果があるのか」がはっきり書かれていません。
味がまろやかになるという声もあれば、交換が面倒だという声もあります。
この記事では、フィルターの構造から実際の効果、細菌リスク、互換品の注意点までを検証し、“使うべき人・使わなくてもいい人”をはっきりさせます。
最終的に「本当に必要かどうか」を判断するお手伝いします。

この記事の結論
デロンギのウォーターフィルターは、味や香りを整えたい人には効果的ですが、浄水器やボトル水を使っている人には不要です。
水をきれいにする装置というより、“味とマシンを安定させる補助パーツ”と考えるのが正解。
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ウォーターフィルターの仕組みと役割

デロンギ純正のウォーターフィルター(DLSC002)は、活性炭・イオン交換樹脂・メッシュ層の三層構造になっています。
それぞれが次のような役割を持ちます。
| 層の位置 | 役割 | 効果 |
|---|---|---|
| 上層(活性炭) | 塩素・有機物を吸着 | 水道水のにおいや味を改善 |
| 中層(イオン交換樹脂) | カルシウム・マグネシウムを吸着 | 水を軟化しスケール(石灰成分)を抑制 |
| 下層(メッシュ) | 微粒子や樹脂の流出防止 | コーヒーマシン内部を保護 |
実はデロンギのウォーターフィルターの構造は、家庭用浄水器(ブリタ・JURA・Mutital)など他社のフィルターとも基本的に共通です。
※下図はMutital互換フィルターの内部構造例。活性炭とイオン交換樹脂の層構成は、デロンギ純正フィルターと同様です。

各社で使う樹脂の種類やろ材の密度、交換サイクルが異なるだけで、目的は「スケールの抑制」と「味の改善」です。
| 製品例 | 用途 | 主な構造 | 効果・除去対象 |
|---|---|---|---|
| Brita Maxtra+ | ポット型浄水器 | 活性炭+イオン交換樹脂 | 硬度30〜40%低下(欧州試験値) |
| Panasonic TKシリーズ | 据置型浄水器 | 活性炭+中空糸膜 | 残留塩素・カビ臭・鉛を80〜90%除去(JIS規格) |
| JURA CLARIS Smart | コーヒーマシン | 活性炭+イオン交換 | 硬度30〜50%低減/スケール防止 |
| De’Longhi DLSC002 | コーヒーマシン | 活性炭+イオン交換 | スケール発生20%減(メーカー公称) |
デロンギのウォーターフィルターと浄水器の違いは、デロンギでは「飲み水を美味しくする」目的ではなく、「マシン内部のスケールを抑える」目的に調整されている点です。
【メリット】ウォーターフィルターを使う理由

デロンギのウォーターフィルターを使う目的は、主に次の4つです。
この4点に集約できます。

| メリット | 具体的な効果 | こういう人に合う |
|---|---|---|
| 口当たりを整える | 苦味の角が取れ、後味が軽くなる | コーヒーの香りや甘みをしっかり感じたい |
| 抽出を安定させる | 湯量・温度ムラが減り、味がぶれにくい | 毎日同じ味を再現したい |
| におい・雑味を抑える | カルキ臭や金属っぽさが和らぐ | 都市部の水道水を使っている |
| ケアを省力化する | スケールの付着が抑えられ、掃除がラクになる | 手入れの負担を減らしたい |
ウォーターフィルターは、「おいしさ」と「マシンの安定」を同時に守るパーツです。
それぞれの効果を、詳しく見ていきます。ウォーターフィルターを使う効果と目的
口当たりを整える

「コーヒーをいれたのに、香りが立たない。」「一口飲んだ瞬間、苦味ばかりが口に残る。」と感じる正体は、水の中に残っている塩素なんです。
日本の水道水は、衛生的に安全なかわりに少しカルキ臭が強く(ヨーロッパより残留塩素が高め)なので、せっかくの豆の香りを押し込めてしまうんですね。
ウォーターフィルターを通すと、塩素や微量の不純物が活性炭に吸着されて、水の角が取れて、舌ざわりがやわらかくなります。
体感しやすい条件(例)
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 都市部の水道水をそのまま使用 | 残留塩素の影響が味・香りに出やすい |
| 深煎り・ビター系の豆 | えぐみ・雑味が目立ちやすく、差を感じやすい |
| エスプレッソ抽出 | 高濃度抽出で水のクセが出やすい |
日本の水道は、配水管が広範囲に延び、温暖な地域も多いことから、雑菌の繁殖を防ぐ目的で塩素濃度をやや高めに保つ運用がされています。
| 比較項目 | 日本 | 欧州主要国(独・仏・伊) |
|---|---|---|
| 平均残留塩素濃度 | 約0.4mg/L | 0〜0.2mg/L |
| 消毒方法 | 塩素中心(残留維持) | オゾン・UV中心(塩素は補助) |
| 管理目的 | 安全・安定供給重視 | 味・香り・自然水源重視 |

日本の残留塩素基準0.4mg/L平均は欧州の約2〜5倍です。
参照:厚生労働省「水道水質基準について」、WHO「Guidelines for Drinking-water Quality (4th Edition)」
抽出を安定させる


フィルターには、スケール(石灰成分)を吸着する樹脂が使われていて、湯路やポンプへの付着を防ぎ、抽出温度を一定に保つ役割があります。
つまり、湯がスムーズに流れる状態を維持できる結果、エスプレッソの圧力や温度が安定し、味の再現性も上がります。
「朝入れるたびに味が違う」という人には、実はこれが一番大きな改善点です。
スケールを抑えることで得られる主なメリット
- ポンプ詰まりや抽出ムラを防ぐ
- 抽出温度と湯量が安定する
- 除石灰作業の回数を減らせる
デロンギ公式では、純正フィルターの使用でスケール発生を最大20%抑制できると公表しています。
| 効果 | 内容 | 実感できる場面 |
|---|---|---|
| スケール抑制 | 硬度成分を吸着 | 内部配管が汚れにくい |
| 抽出の安定 | 湯量・温度を一定に保つ | 味が安定する |
| 手入れ軽減 | 除石灰の頻度を減らす | 掃除の負担を減らせる |



安定抽出につながるとか、考えもしなかったです。
におい・雑味を抑える


活性炭層がカルキ臭(塩素臭)や金属イオンを吸着し、コーヒー特有の香りを邪魔しません。
とくに、古い配管のビルやマンションでは、微量の鉄分・銅イオンが混じることもあります。これらのにおいを軽減してくれるのが、フィルターの役割です。
豆の香りが「立たない」と感じていた人にとって、もっとも実感しやすいポイントですね。
ただし、フィルターはあくまで簡易浄水の域にとどまり、細菌やウイルスの完全除去までは対応していません。
期待できる効果
- 塩素臭やカビ臭を軽減
- 金属的なにおいを除去
- アロマや甘味が引き立つ
| 除去対象 | 仕組み | 改善される点 |
|---|---|---|
| 塩素・カルキ臭 | 活性炭の吸着 | においが減る |
| 有機物・トリハロメタン | 微細孔で捕捉 | 味がやわらぐ |
| 微量金属 | 表面吸着反応 | 雑味がなくなる |
ケアを省力化する


スケールが減るということは、除石灰作業(デスケール)の頻度も下がるということ。
タンクや内部配管への石灰付着を防ぐことで、マシン全体の寿命を延ばす効果もあります。
フィルターを使っている人の中には、「除石灰の表示が出にくくなった」「内部が汚れにくい気がする」と感じている人もいます(※1)
安定性を高めるポイント
- 水質が変わりにくく、味が安定する
- タンクの汚れやにおいを防ぎやすい
- 継続使用でマシンの劣化を防ぐ
| 効果 | 内容 | 心理的な効果 |
|---|---|---|
| 味の安定 | 水質ブレを減らす | 同じ味を再現しやすい |
| 衛生面 | ろ過された水を使用 | 清潔に使える |
| 満足感 | 大切に扱える | 安心して使い続けられる |
デロンギの除石灰ランプは、抽出回数やお湯の量、経過日数などをカウントして点灯します。
つまり、実際の汚れを見て判断しているわけではなく、フィルターを使っても点灯タイミングは変わりません。
効果としてスケール(石灰)の付着が減る分、内部の汚れは軽くなり、掃除そのものは少しラクです。
「掃除回数が減る」ではなく、正確には「汚れがつきにくくなる」です。
【デメリット】コーヒーマシン用ウォーターフィルターの注意点


コーヒーマシン用のウォーターフィルターにも弱点があります。
「味がまろやかになる」「スケールが抑えられる」といったメリットがある一方で、いくつかの制約や注意点も理解しておく必要があります。
除去範囲には限界がある


家庭用のウォーターフィルターは、構造的には簡易浄水器と同じ仕組みで、吸着できるのは主に塩素やカルシウムなどの味やスケールに関係する成分です。
浄水能力には上限があり、NSF(米国の公的認証機関)によると、塩素除去率はおおむね50〜70%、硬度の低減は20〜40%が一般的とされています。
つまり、水を完全に軟水化したり、ミネラルをゼロにすることはできないし、細菌・ウイルス・重金属などは除去対象外。
フィルターは、あくまで「味とスケール対策」のための部品で、医療用浄水器や高性能な据置型モデルとは目的が違います。
| 項目 | 期待できる効果 | 除去できないもの |
|---|---|---|
| 活性炭層 | 塩素・有機物除去 | 細菌・ウイルス |
| イオン交換樹脂 | 硬度成分吸着 | 鉄・鉛などの重金属 |
細菌繁殖のリスクがある


湿度の高い環境では、フィルター内部にバイオフィルム(ぬめり)が発生し、細菌が繁殖することがあります。
とくに気温が高い季節は増えやすく、フィルターを通した水がにおうケースも。
メーカー推奨の「2か月ごとの交換」を守ることが、衛生を保ついちばんの近道です。
菌が増えやすい条件
- 2か月以上交換を放置
- 水を継ぎ足して使う
- 高温多湿で保管する
コスト・メンテの負担がある


交換目安は約2か月または50L使用ごと。
1本あたり1,500円前後で、年間約6本=約9,000円が目安です。
交換ごとにタンク取り外し・エア抜き・初回リンスが必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 推奨交換周期 | 約2か月ごと/50L |
| 年間必要数 | 約6本 |
| 年間コスト | 約9,000円前後 |
| 作業時間 | 1回5〜10分程度 |
交換時間は5分程度ですが、「少し手間」と感じる人も多いのが実情です。
ウォーターフィルターのメンテナンス方法


フィルターを正しく使うには、定期交換・リンス・タンク清掃の3つが欠かせません。
「味が落ちた」「水が出にくい」と感じたときは、交換時期を過ぎているサインです。
| 内容 | 目安 |
|---|---|
| 交換頻度 | 約2か月ごと/または50L使用ごと |
| 準備 | 新しいフィルターを水に5分ほど浸す |
| 設置 | 水タンクにしっかり押し込み、エア抜きを行う |
| 初回動作 | 最初の1〜2杯分をリンスとして破棄 |
上記の手順を守るだけで、フィルター内部の気泡や空気残りを防げます。
取り付け直後に「抽出が始まらない」「ポンプ音だけする」ときは、エアが抜けきっていないことが原因です。
よくあるミスと対処法
| トラブル内容 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 水が出ない | エア抜き不足 | 取り付け後に湯通し動作を行う |
| 味が薄い | 初回リンスをしていない | 1〜2杯分を破棄する |
| においが残る | タンクを洗っていない | 週1回程度で洗浄する |
使用を続ける限り「放置」は禁物です。
タンク内の水は毎日入れ替え、フィルターを付けたまま長期間使わないのは避けましょう。
数日使わないときは、フィルターを外して乾燥させておくと安心です。
フィルターを長持ちさせるポイント
- 使わない期間が長いときは、一度取り外す
- 水タンクの水は継ぎ足さず、毎回入れ替える
- 高温多湿を避け、直射日光を当てない
ウォーターフィルターを使うべき人・使わなくていい人


ウォーターフィルターは、全員に必要なパーツではありません。
どんな人が使ったほうがいいのか、どんな人ならなくても問題ないのかを整理してみました。
| 使うべき人 | 使わなくていい人 |
|---|---|
| コーヒーの味をしっかり整えたい | 味の違いをあまり気にしない |
| 水道水の色やにおいが気になる | ミネラルウォーターや浄水器を使っている |
| 井戸水を使っている | 定期的な交換が面倒に感じる |
| 除石灰の回数を減らしたい | 維持費をできるだけ抑えたい |
| マシンを長くきれいに使いたい | 除石灰をこまめにできる |
あなたが多く当てはまったのはどちらでしたか?
多いほうがあなたにとってのベターです。
井戸水を使っている人は塩素殺菌がされていないため、細菌リスクを抑える目的でもフィルターを使うほうが安心です。
一方で、浄水器やボトル水を使っていたり、定期的に除石灰をしてマシンを清潔に保てる人は、フィルターを無理に使わなくても問題ありません。
自分の水環境とメンテナンスの習慣に合わせて選ぶことで、余計なコストをかけずにおいしいコーヒーを続けられます。
ウォーターフィルターに関するよくある質問
まとめ:結論


ウォーターフィルターは、「味・香りの調整」と「マシン保護」には効果的ですが、全員に必要なパーツではありません。
完全な浄水器ではありませんが、毎日の安定した味づくりと内部ケアには効果的です。


味と香りにこだわり、マシンを長く大切に使いたい人にはおすすめ。
手軽さを重視し、除石灰をきちんとできる人には不要。
ウォーターフィルターは「必須」ではなく、コーヒーをより快適に楽しむための選択肢と考えるのが現実的です。
他の記事も参考にしてくださいね
参考にした公的機関リンク


記事で参考にした公式サイトを表にしました。
| 分野 | 機関名 | 公式リンク |
|---|---|---|
| 水道水質基準・硬度データ | 環境省「水道対策」 | https://www.env.go.jp/water/water_supply/index.html |
| 水質検査・分析 | 東京都水道局/水源水質 | https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen |
| 細菌リスク研究・衛生基準 | 国立保健医療科学院/生活環境研究部 水管理研究領域 | https://www.niph.go.jp/soshiki/suido/suidotop.html |
| 製品認証・安全基準 | 日本水道協会(JWWA) | jwwa.or.jp |
| デロンギ公式サイトウォーターフィルター製品情報 | https://www.delonghi.com/ja-j | |












